バンバン「『いちご白書』をもう一度」歌詞の意味・考察|映画に残る二人と、大人になる自分
- リリース日:
- 1975年
- 推定売上枚数:
- 75.1万枚
映画には、会い直せる。
あの日の二人は、遠い。
こんにちは!かなひなです😊
昔見た映画の題名に出会って、物語よりも、一緒にいた人を思い出すことがあります。バンバンの「『いちご白書』をもう一度」で私が引かれるのは、作品が一人の相手との時間に結び付いていることです。同じ映画を見ることはできても、そのときの二人まで戻ってくるわけではない。その違いが、懐かしさの中に寂しさを残しているのでしょう。
もう一つ気になるのは、語り手が以前の自分を振り返る目線です。生活が変わり、社会の中へ進んでいく。その変化を受け入れることと、変わった自分に何も感じなくなることは、同じではありません。私は、映画に残る二人の記憶と、大人になっていく自分への揺れから、この歌を読んでみたいと思います。
「『いちご白書』をもう一度」は1975年のバンバンの作品です。作詞・作曲は荒井由実、編曲は瀬尾一三。紹介するのは、2009年発売の『GOLDEN☆BEST バンバン+ばんばひろふみ』です。本曲を5曲目に収めた、全20曲のCDです。
『GOLDEN☆BEST バンバン+ばんばひろふみ』
「「いちご白書」をもう一度」の基本情報
| 曲名 | 「いちご白書」をもう一度 |
|---|---|
| アーティスト | バンバン |
| 発売日 | 1975年 |
| 作詞 | 荒井由実 |
| 作曲 | 荒井由実 |
| 編曲 | 瀬尾一三 |
| 収録作品 | 『「いちご白書」をもう一度(シングル)』 |
| シングル順 | — |
| 発売元・品番 | 紹介CD:MHCL-1542 |
歌ネットの作者情報 / ヤマハの瀬尾一三作品集 / ソニー公式の紹介CD
荒井由実の作詞・作曲によるバンバンの作品です。ヤマハの瀬尾一三編曲作品集にも、1975年のバンバンの曲として収録されています。
紹介CDは2009年7月15日発売のMHCL-1542、CD1枚・全20曲です。本曲は5曲目。バンバンの作品と、ばんばひろふみのソロ作品を収めたベスト盤です。
「「いちご白書」をもう一度」の歌詞
歌詞の意味・解釈
同じ映画が戻っても、同じ二人には戻れない
作品をもう一度見ることと、過去の関係をもう一度生きることの違いが、題名の願いを切なくしているのでしょう。
映画の記憶が、相手を身近にする
語り手にとって、この映画は内容だけで完結する作品ではありません。一緒に見た相手との時間が重なっています。私は、その重なりが題名を個人的なものにしていると感じます。誰もが同じ作品を見ることはできても、それに結び付く思い出は同じではない。この人が会いたいのは、映画だけではなく、その映画と切り離せない相手でもあるのでしょう。
過去を振り返る語り手の関心は、出来事の大きさより、そばにいた人へ向いています。作品を思い出したとき、相手の存在が今も大きく感じられる。私には、その親しさが、遠い時代の話を身近な恋の記憶に変えているように見えます。映画が一つの時代を象徴するだけでなく、特定の人を思う入口になっているのです。
けれど、共有した経験があっても、今の相手がそれをどう覚えているかは分かりません。語り手には大切な記憶でも、相手の現在の気持ちまで確かめられたわけではない。私は、その不確かさに寂しさを感じます。同じ過去を持つことと、今も同じ思いでいることは違う。その間にある距離が、この歌の願いを、簡単な再会の約束にはしないのでしょう。
もう一度という題名には、繰り返せるものと繰り返せないものが重なっています。映画へは戻れても、当時の自分や相手をそのまま取り戻すことはできません。それでも、映画を通してその時間に触れたい。その気持ちは、過去を忘れられない弱さというだけではなく、一緒にいた時間が今も自分にとって大切だということでもあるのだと思います。
生活が変わるとき、以前の自分をどう見つめるか
この歌では、相手との記憶の中に、語り手自身の変化もあります。社会へ進んでいくとき、以前と同じ自分ではいられない。その変化は、本人の中で何の引っ掛かりもなく済んだことには見えません。私は、昔の自分をただ懐かしむのではなく、変わっていく自分を相手にどう見せるかという揺れがあるように感じます。
語り手が自分の変化を相手へ説明することには、私には少し切実さがあります。生活の選択をしたからといって、それ以前の自分への思いが消えるわけではない。新しい生活に進むことと、若い頃の自分をすべて否定することは違います。その二つをうまく分けられない感覚が、自分について語る言葉のそばに残っているのでしょう。
相手は、語り手の以前の姿を知っている人でもあります。だからこそ、その人を思い出すことは、かつての自分に向き合うことにもなる。私は、この歌の恋しさが、相手だけを切り離して懐かしむものではないと感じます。その人といた頃の、自分の考え方や生き方も一緒に浮かんでくる。その重なりが、過去をいっそう遠く、同時に身近なものにしているのでしょう。
大人になることを、ここでは成功とも敗北とも決め切れません。生活を選び取った自分にも、以前の時間を懐かしむ気持ちは残る。前へ進めたかどうかという一つの物差しでは、測れないものがあるのだと思います。私は、恋の記憶の中に、変わった自分への戸惑いまで含まれているところに、この歌の青春の複雑さを感じます。
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本曲から『GOLDEN☆BEST バンバン+ばんばひろふみ』へ
バンバンの歌と、ばんばひろふみのソロ作品を一枚でたどれるベスト盤です。
2009年発売のCD1枚・全20曲
紹介CDは2009年7月15日発売のMHCL-1542です。「『いちご白書』をもう一度」は5曲目に収録されています。「何もしないで」「冷たい雨」「縁切寺」などから、ソロ作品の「SACHIKO」「速達」へも進める、全20曲のベスト盤です。
ソニーの公式紹介は、バンバンの曲と、ばんばひろふみのソロ作品を併せた構成を案内しています。本曲を入口に、グループの歌とその後のソロの歌にも出会いたい方へ向いたCDです。
荒井由実の詞曲と、瀬尾一三の編曲の仕事
一曲の作者から、ほかの作品へ向かう入口があります。
歌を支える作者の名前から、作品を広げる
歌ネットのバンバンの本曲ページには、作詞・作曲ともに荒井由実の名が掲載されています。相手との記憶と自分の変化が、同じ歌の中にある。言葉を読み返しながら、その二つがどのように重なるかにも目を向けられます。
ヤマハの『「時代を創った名曲たち」〜瀬尾一三作品集 SUPER digest〜』にも、1975年のバンバンの本曲が収録されています。瀬尾一三が編曲した全26曲をまとめた作品集です。本曲の作者を知ることから、編曲という仕事や、同じ編曲家が関わった別の歌へも入口が広がります。
この曲のまとめ
「『いちご白書』をもう一度」の願いは、同じ映画を見ることだけでは尽くせないのでしょう。映画には、相手といた時間と、かつての自分が結び付いている。作品が再び目の前にあっても、その時間まで戻るわけではない。私は、その違いを知りながら、なお思い出に触れたくなる気持ちに、この歌の切なさを感じます。
曲へ戻るときは、相手を懐かしむ気持ちのそばに、以前の自分への目線もあることを重ねてみてください。生活が変わっても、過去の自分を簡単には片付けられない。誰かと過ごした時間には、その頃の自分も残っている。私には、その二つを同時に思うところが、この歌の青春を、ただ明るい思い出ではないものにしているように感じられます。
「「いちご白書」をもう一度」に関するよくあるご質問
- Q.1「『いちご白書』をもう一度」はいつの作品?
- A.1
1975年のバンバンの作品です。ヤマハの瀬尾一三編曲作品集でも、1975年の曲として紹介されています。
- Q.2作詞・作曲・編曲は誰?
- A.2
作詞・作曲は荒井由実さん、編曲は瀬尾一三さんです。
- Q.3題名の映画を、この記事ではどう読んでいる?
- A.3
私は、相手と共有した時間を思い出す入口として読みます。同じ映画を見られても、当時の二人の時間まで戻るわけではないところに、切なさを感じます。
- Q.4相手も同じ思いでいる歌?
- A.4
相手の現在の気持ちは、確かめられていません。私は、共有した記憶があっても、今も同じ気持ちかは分からない、その距離が残る歌として受け取っています。
- Q.5語り手自身の変化も大切な論点?
- A.5
はい。生活が変わることと、以前の自分への思いが消えることは別だと読みます。相手を懐かしむことに、かつての自分を振り返る気持ちも重なっていると感じます。
- Q.6紹介しているCDはどれ?
- A.6
2009年7月15日発売の『GOLDEN☆BEST バンバン+ばんばひろふみ』、MHCL-1542です。CD1枚・全20曲で、本曲は5曲目に収録されています。
- Q.7ベストCDはバンバンの曲だけ?
- A.7
いいえ。バンバンの作品に加え、ばんばひろふみのソロ作品も収録しています。「SACHIKO」「速達」などにも出会える構成です。
- Q.8瀬尾一三の編曲作品を知る入口は?
- A.8
ヤマハ公式の『「時代を創った名曲たち」〜瀬尾一三作品集 SUPER digest〜』の紹介ページです。本曲を含む全26曲の曲目と、編曲家としての仕事を紹介しています。
- Q.9バンバンの本曲の歌詞はどこで読める?
- A.9
この曲が気になった方へ
過去の恋と、自分の変化を描く歌へ。



