ばんばひろふみ『SACHIKO』の歌詞の意味・考察|送り出す自由と、帰れる場所
- リリース日:
- 1979年
- 推定売上枚数:
- 67.2万枚
涙のままで、旅立っても。
帰る灯りは、ここにある。
こんにちは!かなひなです😊
ばんばひろふみさんの『SACHIKO』は、傷ついた人に向かって、元気になったら進もうとだけ告げる歌ではありません。悲しい恋を選ぶことも、一人で出かけることも、語り手は止めようとしません。その先で疲れてしまったときには、受け止める存在であろうとしています。
私は、励ましと引き止めが違うことを、この歌から考えたくなります。大切な人が苦しそうなら、危ない道へ進んでほしくないと思うこともあるでしょう。でも、ここでは相手の人生を代わりに決めず、笑顔を取り戻す時間にも付き合おうとしている。自由と安心が、同じ歌の中にあります。
本曲は1979年の作品。作詞は小泉長一郎さん、作曲は馬場章幸さん、編曲は大村雅朗さんです。自分の名前までつらく感じている人と、その人へ声を向ける語り手。二人の距離を、出発と帰る場所から読んでみます。
GOLDEN☆BEST バンバン+ばんばひろふみ
「SACHIKO」の基本情報
| 曲名 | SACHIKO |
|---|---|
| アーティスト | ばんばひろふみ |
| 発売日 | 1979年 |
| 作詞 | 小泉長一郎 |
| 作曲 | 馬場章幸 |
| 編曲 | 大村雅朗 |
| 収録作品 | 『SACHIKO』 |
| シングル順 | ばんばひろふみのソロ作品 |
| 発売元・品番 | 紹介CD:MHCL-1542 |
ラジオ関西・本人紹介 / 歌ネット・詞曲編曲情報 / Sony・収録CD情報
本曲は1979年、バンバン解散後のソロ活動でヒットした作品です。ラジオ関西の本人紹介でも、本人が作曲を手がけた曲として掲載されています。
購入欄は2009年7月15日発売の『GOLDEN☆BEST バンバン+ばんばひろふみ』。MHCL-1542、CD1枚・全20曲で、本曲は第13曲です。
グループのバンバンによる作品と、ばんばひろふみさんのソロ作品をまとめたCDです。本曲の歌い手は、ばんばひろふみさんです。
歌詞を読む
歌詞の意味・解釈
傷つかない人生ではなく、選べる人生を支える
小さく感じられる幸福、名前への違和感、旅立つ自由、帰れる場所。語り手は、相手の苦しさを消したことにせず、そばにあり続けようとしています。
つらいことのほうが、多く長く感じられる
冒頭では、良い出来事とつらい出来事の釣り合いが崩れています。幸福は少なく、苦しさは数えきれないほどに感じられる。後には、良い話なら短く済むのに、つらい話は一晩を使っても終わらないという違いも現れます。私は、出来事の数だけでなく、心に残る時間の長さも描かれていると思います。
語り手は、その人に、良いことだけを数え直せばよいとは言っていません。美しい心を持っていても、外見への悩みは消えない。私は、その戸惑いまで否定しないところに惹かれます。正しい考え方を教える前に、この人には今の苦しさがあると受け止める歌なのです。
一方で、語り手は、今泣いている出来事も、後には笑って振り返れるかもしれないと先を見ています。私は、この希望を、今すぐ明るくなるよう求める言葉とは分けて読みます。その後には、笑顔が戻るまで付き合うという態度が続く。相手の今を否定せず、今の苦しさだけで未来も決めないところに、支える人の視線があります。
自分の名前さえ、心にそぐわなくなる夜
名前と幸福のイメージが、自分の暮らしには合わないと感じる場面があります。自分へ宛てた手紙を燃やし、窓に向かって家から出たいと考える。私は、外にいる誰かだけでなく、自分自身とも折り合いをつけにくくなった姿として読みます。
手紙という、自分へ言葉を送るものが失われるところも気になります。何を書いたのかは示されません。それでも、自分に話しかけることまで難しい夜に、別の人からの声が届いている。私には、この歌の励ましが、元気な人へ向けた掛け声とは違って聞こえる理由です。
悲しい恋も、一人の旅も取り上げない
語り手は、相手の恋が悲しいものでも、一人で旅をすることになっても、その選択を止めてはいません。私は、傷つかない道だけを選ばせることと、人を大切にすることは、同じではないと読みます。
もちろん、つらい経験を望んでいるわけではないでしょう。相手が選びたい人生を、自分の心配だけで狭めない。私は、送り出す側にも簡単ではない態度だと思います。自分の近くにとどまらせるより、相手の人生が相手のものであることを尊重しようとしているのです。
笑顔を取り戻すまで、待っていてくれる人
笑顔がなくなったときには、すぐ笑うよう促すのではなく、その人が笑えるようになるまで一緒にいようとしています。疲れたり傷ついたりして帰ることも、語り手は受け止めようとする。私は、旅が成功した人だけに開く場所ではないところに、この歌の温かさを感じます。
出発できる自由と、戻ってもよい安心は、反対ではありません。私には、戻る場所があるから、相手の選択も尊重できるように見えます。励ましの最後を、幸福な結末の保証にしない。今つらい人にも、その先でつらくなる人にも、支えを差し出す歌として読みたくなります。
この曲を聴く
収録CDと言葉から、本人の回想へ
2009年のCD、歌詞全体、後年のアレンジについての本人取材、歌への姿勢を語ったインタビューをたどれます。
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ライブのアレンジが、後年の録音へつながる
2012年の『メイド イン 京都』には、ライブで歌ったアレンジを採り入れた『Sachiko』が収録されています。
ギラ・ジルカの周年ライブが、一つのきっかけに
ばんばさんは2012年の取材で、ギラ・ジルカさんの活動20周年ライブにゲスト出演した際、本曲をサンバ風にアレンジして歌ったと話しています。その形をアルバムでも使いたいと考え、ギラさんにも参加してもらったという回想です。2012年の本人インタビュー。
その録音には、幼い子どもから成人までの声が加わったとも本人が説明しています。ここでの話は、2012年10月17日発売の『メイド イン 京都』(UFCW-1035)に収めた別アレンジについてです。1979年の原曲や、購入欄の2009年CDとは分けてたどれます。
私は、多くの年齢の人の声が参加したという話を、歌の中の支えが一つの関係だけに収まらないことと重ねて読みたくなります。相手を送り出し、疲れたときには迎える。そんな心へ、後年の本人が別の形で向き合っています。
歌う人の年齢とともに、支える側の姿も変わる
ばんばさん自身は、長く歌う中で、語り手の捉え方が変わってきたと話しています。
兄、別れた男性、父、祖父へと広がる受け止め方
2012年の本人インタビューでは、若い頃は兄や別れた男性、年齢を重ねてからは父や祖父のようにも捉えられる、と振り返っています。誰か一人へ決める説明ではなく、歌い続ける本人の受け止め方が広がった話です。語り手についての本人回想。
私は、この回想を知ると、歌の中の愛を恋愛だけで読む必要はないと感じます。支える人の立場が変わっても、相手の人生を取り上げず、つらいときには受け止める態度は残る。歌う人が年齢を重ねることも、この作品へ戻る手がかりになるのです。
うまく歌うことから、自分の歌として向き合うことへ
2014年のラジオ関西のインタビューで、ばんばさんは、若い頃はうまく歌わなければと思っていたものの、後には自分が歌っているという思いが強くなったと話しています。歌の意味を考えるようになり、一回ごとに思いを込める姿勢も語っています。歌への姿勢を語った本人取材。
これは本曲だけの録音技法の話ではなく、歌い手としての姿勢についての言葉です。私は、年齢によって語り手が違って見えるという回想ともつながるように感じます。同じ言葉を歌っていても、その人が今どの立場から相手を思うかは、年月の中で変わっていくのでしょう。
この曲のまとめ
私には、『SACHIKO』は幸福を約束する歌というより、人生を選ぶ人の支えであろうとする歌に感じられます。悲しい恋も一人の旅も取り上げない。でも、相手が疲れたときには受け止め、笑顔を急がせずに待っている。その二つが一緒にあることに惹かれます。
歌詞を読み直した後には、ばんばひろふみさんの歌唱を収めたCDへ。本人の後年の回想をたどると、送り出す人が兄にも父にも見えるという広がりにも出会えます。自分にとって、帰る灯りを残してくれる人は誰だろう。そんなことを考えながら、もう一度この曲へ戻りたくなります。
「SACHIKO」に関するよくあるご質問
- Q.1いつの曲ですか?
- A.1
原曲は1979年の作品です。購入欄の収録CDは2009年発売で、原曲の発売年とは別です。
- Q.2歌い手はバンバンですか?
- A.2
本曲は、ばんばひろふみさんのソロ作品です。紹介するCDには、グループのバンバンによる作品も収録されています。
- Q.3作詞・作曲・編曲は誰ですか?
- A.3
作詞は小泉長一郎さん、作曲は馬場章幸さん、編曲は大村雅朗さんです。ラジオ関西の本人紹介では、本人が作曲した作品として紹介されています。
- Q.4名前への違和感をどう読めますか?
- A.4
私は、幸福を思わせる名前と、自分が感じる苦しさとの隔たりから、自分自身とも折り合いをつけにくくなった姿として読みます。
- Q.5悲しい恋や一人の旅を認めるのはなぜですか?
- A.5
私は、相手を大切に思っていても、人生の選択を代わりに決めない態度として読みます。つらいときの支えと、出発する自由を一緒に差し出しています。
- Q.6笑顔を待つ言葉には、どんな魅力がありますか?
- A.6
すぐに元気になることを求めず、その人が笑えるようになるまで付き合おうとするところです。私は、回復を急がせない支えとして受け取ります。
- Q.7購入欄のCDは何ですか?
- A.7
2009年7月15日発売の『GOLDEN☆BEST バンバン+ばんばひろふみ』、MHCL-1542です。CD1枚・全20曲で、本曲は第13曲です。
- Q.8ほかにどんな曲を収録していますか?
- A.8
バンバンの『「いちご白書」をもう一度』や、ばんばひろふみさんの『速達』などを収録しています。
- Q.92012年の別アレンジとは何ですか?
- A.9
2012年10月17日発売の『メイド イン 京都』に収録された『Sachiko』です。本人は、ギラ・ジルカさんの周年ライブで歌ったサンバ風のアレンジを採り入れたと話しています。
- Q.10後年の録音には子どもの声も参加していますか?
- A.10
2012年の本人インタビューで、幼い子どもから成人までの声が参加したと説明しています。これは『メイド イン 京都』の別アレンジについての話です。
- Q.11語り手を父のように読むこともできますか?
- A.11
ばんばさん自身が、年齢とともに兄や別れた男性、父や祖父へと受け止め方が変わったと話しています。私は、一つの関係に固定しない支える愛として読んでいます。
- Q.12歌詞全体はどこで読めますか?
- A.12
歌ネットのばんばひろふみ『SACHIKO』の曲別ページです。表示される2009年7月15日は、1979年の原曲とは別の発売情報です。
この曲が気になった方へ
相手の選択が、自分の願いと違っても。支えを残す二つの歌へ。


