恋のしずく|歌詞の意味・考察――濡れることまで、恋の記憶になる
- リリース日:
- 1968年
- 推定売上枚数:
- 85.7万枚
水たまりに、街が揺れる。
帰り道の角を、ゆっくり曲がる。
こんにちは!かなひなです😊
雨や涙を思わせるしずくが、恋を終える合図ではなく、大切にしておきたいものとして描かれる。「恋のしずく」の語り手は、濡れることを受け入れながら、相手の言葉や優しさを自分の中に残そうとしています。悲しみだけに結びつけると、見落としてしまう気持ちのある歌です。
私が気になるのは、濡れた状態から早く抜け出そうとしないところです。相手を思う感覚が、その時間や景色に重なっている。そして最後には、相手の手と、明るい空のイメージが結びついていきます。
伊東ゆかりさんが歌う1968年の一曲です。しずくがどう受け取られているかをたどり、後年に本人がこの曲を歌い直した話も紹介します。恋の記憶と、長く歌う人の記憶、その両方に目を向けてみます。
『決定版 伊東ゆかり』
「恋のしずく」の基本情報
| 曲名 | 恋のしずく |
|---|---|
| アーティスト | 伊東ゆかり |
| 発売日 | 1968年 |
| 作詞 | 安井かずみ |
| 作曲 | 平尾昌晃 |
| 編曲 | 森岡賢一郎 |
| 収録作品 | 『決定版 伊東ゆかり』 |
| シングル順 | — |
| 発売元・品番 | 紹介する収録CD:King Records/KICX-5657 |
キングレコード公式経歴 / キングのシングル資料 / 歌ネットの作者情報 / 収録CDの公式曲目
キングレコードの公式経歴は、「恋のしずく」を1968年のヒット曲として紹介しています。作詞は安井かずみさん、作曲は平尾昌晃さん、編曲は森岡賢一郎さん。シングルのカップリングは「あなたの言った言葉」です。
紹介するCDは、2023年12月6日発売の『決定版 伊東ゆかり』です。KICX-5657、1枚組の全20曲で、本曲は3曲目に収録されています。
しずくを、どんな気持ちで受け取るのか
歌詞の意味・解釈
しずくを受け入れ、相手を心に残す
濡れることと、恋の気持ちが離れずにいる。言葉、優しさ、触れる手へと、相手を感じる手がかりが変わっていきます。
濡れることを、避けようとしない人
語り手は、しずくに濡れることを嫌がっていません。その状態を受け入れたまま、歩く時間を続けたいと思っています。濡れることが不快さだけになっていないところに、まず目が止まります。
私は、ここを相手との時間を急いで終えたくない気持ちとして読みます。しずくを避ければいい、というだけでは足りない。相手を思う今の感覚まで、手放したくないように見えるんです。
題名には恋が結びついているので、しずくには雨だけでなく、涙を思わせる余地もあります。どちらか一つに決めるより、語り手がそれを拒まずにいる点から入ると、この歌の気持ちが近づいてきます。
相手の言葉を、身体の感覚と一緒に覚えたい
濡れる感覚を語った後、相手の言葉を忘れたくない気持ちが出てきます。何を言われたのかという具体的な内容より、その言葉が自分に残ることを願っているんですね。
私は、ここでしずくが、相手を記憶する手がかりにもなると感じます。言葉だけを切り離して覚えるのではなく、濡れて歩いている今の感覚と一緒に残そうとしている。恋の記憶が、説明よりも身体に近いところで描かれています。
相手の言葉の内容が細かく語られないことも、この曲の入口になっています。どんな言葉だったかを想像するより、語り手にとって忘れたくない言葉だったことへ、私は目を向けたいです。
相手のせいと思うことが、非難だけにならない
頬にあるしずくには、相手との関係が結びついています。相手によって生まれたものとして受け取りながら、それを二人の愛を感じるものとして捉えている。相手への言葉が、責める気持ちだけに向かわないんです。
私は、この受け取り方が、失恋の涙という印象とは違うところだと思います。相手のために自分の気持ちが動くことを、語り手は大切にしている。その人の優しさを、自分の中に保っていたいと願っています。
濡れているという姿だけを見れば、つらい場面に思えるかもしれません。でも、語り手がそこにどんな意味を置いているかで、同じしずくの見え方が変わります。悲しいか幸せかを急いで分けないで読みたいところです。
手が触れるところで、空のイメージが変わる
終盤では、相手の手が触れることと、明るい空が見えるイメージが結びつきます。濡れる感覚が続いてきた歌の中で、見える景色が変わるところです。
私は、相手が近くにいることで、語り手が景色を違って受け取る場面として読みます。空の変化だけを見せるのではなく、その人の存在とつながっている。さらに相手を太陽に重ねることで、恋の相手が自分にとってどんな人なのかが見えてきます。
濡れることを受け入れていた人が、最後には相手を愛し続けたい気持ちへ向かう。私は、この流れによって、しずくをただ消したいものとして扱わない歌だったことが、改めて近づいてくると感じます。
本人が、歌い直すときにも選んだ一曲
伊東ゆかりさんは、2013年の『メモリーズ・オブ・ミー』で「恋のしずく」をセルフカバーしています。CDJournalのインタビューでは、自分の思い出となっている曲を選ぶ中で、「小指の想い出」と本曲は外せないと語っています。
一度ヒットした曲というだけでなく、本人が後年の選曲でも大切にした曲なんですね。歌の中では相手の言葉を残そうとする人物がいて、歌う人には、この曲を歌ってきた記憶がある。別々の記憶として、その両方に関心が湧きます。
ARTIST’S WORDS
伊東ゆかりさんが語った、思い出の曲の選び方
2013年のアルバムについて、本人は自分の思い出になっている曲を選んだと説明し、「恋のしずく」も外せない曲に挙げています。
本人とデビッド・マシューズさんのインタビューを読む ↗
この曲を聴く
1968年の曲から、後年の歌い直しへ
収録CD、元のシングル資料、本人インタビュー、2013年のセルフカバー盤へ進めます。
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YouTubeで「恋のしずく」を探す
曲名とアーティスト名で、聴きたい映像や音源を探してみませんか。
別の歌い手へ渡った、番組の記録
伊東ゆかりさんを特集した番組では、他の歌手が本曲を歌った記録もあります。
伊東ゆかりさん特集で、五木ひろしさんが歌った
BS朝日の『日本の名曲 人生、歌がある』には、伊東ゆかりさんを特集した回の記録があります。本人も出演した回で、「恋のしずく」は五木ひろしさんの歌唱として掲載されています。放送局の特集記録。
同じ歌を別の歌い手が届ける場にも進んできた一曲です。本人の録音に惹かれたら、歌い継がれた記録をたどってみるのもよさそうです。誰が歌ってきたかという曲の歩みへ、関心を広げられます。
歌謡曲のヒットから、2013年のジャズ再録音へ
長く歌われてきた一曲には、後年に編曲を変えて歌い直す入口もあります。
2013年のセルフカバーは、別の伴奏で聴ける
2013年発売の『メモリーズ・オブ・ミー』を、徳間ジャパンはジャズ・テイストのカバー盤として紹介しています。「恋のしずく」は1曲目のセルフカバーです。2013年の盤の公式紹介。
CDJournalのインタビュー記事は、この版の本曲を、二管を前面に置いた五人編成の演奏と、4ビートのサックス・ソロを含む編曲として紹介しています。1968年の曲を、後年の別の伴奏で聴く入口です。再録音の編曲を紹介する記事。
この曲のまとめ
「恋のしずく」で私に残るのは、濡れることが、ただ避けたい状態ではないところです。相手の言葉や優しさを残したい気持ちと結びついて、しずくの見え方が変わる。そして、触れる手から、明るい空へと景色が広がっていきます。
次に聴くときは、語り手がしずくにどんな意味を置いているかに注目してみてください。雨や涙の印象だけでなく、その人が大切にしたいものまで見えてくる。後年のセルフカバーへ進む楽しみもある一曲です。
「恋のしずく」に関するよくあるご質問
- Q.1「恋のしずく」を歌っているのは?
- A.1
伊東ゆかりさんです。キングレコードの公式経歴は、1968年のヒット曲として紹介しています。
- Q.2いつの曲?
- A.2
1968年の楽曲です。ここで案内する収録CD『決定版 伊東ゆかり』は、2023年12月6日の発売です。
- Q.3作詞・作曲・編曲は誰?
- A.3
作詞は安井かずみさん、作曲は平尾昌晃さん、編曲は森岡賢一郎さんです。歌ネットの作者情報に掲載されています。
- Q.4しずくは、雨? 涙?
- A.4
濡れる身体の感覚と、相手への恋心が重なる表現です。私は雨や涙のどちらかに限定せず、語り手がそれを大切に受け取っている点から読みます。
- Q.5失恋を描いた歌と考えられる?
- A.5
語り手は相手の言葉を忘れずにいたいと願い、優しさを大切にし、最後には愛し続けたい気持ちへ向かいます。私は、しずくを悲しみだけに結びつけない歌として受け取ります。
- Q.6最後の空のイメージは、どう読める?
- A.6
相手の手が触れることと、明るい空のイメージが結びつきます。私は、相手の存在によって、語り手が景色を違って受け取る場面として読みます。
- Q.7元のシングルのカップリングは?
- A.7
「あなたの言った言葉」です。キングレコードのSOUND FUJIが、二曲を収めたシングルとして紹介しています。
- Q.8本人は、後年にも歌い直している?
- A.8
2013年の『メモリーズ・オブ・ミー』でセルフカバーしています。本人はCDJournalのインタビューで、選曲の際に本曲は外せないと語っています。
- Q.92013年の版は、どんな編曲として紹介されている?
- A.9
CDJournalの記事は、二管を前面に置いた五人編成と、4ビートのサックス・ソロを紹介しています。2013年のセルフカバー版についての説明です。
- Q.10他の歌手が歌った記録は?
- A.10
BS朝日の伊東ゆかりさん特集では、五木ひろしさんが「恋のしずく」を歌ったと記録されています。本人も出演した回です。
- Q.11紹介しているAmazon商品は?
- A.11
2023年12月6日発売の『決定版 伊東ゆかり』です。KICX-5657、CD1枚の全20曲で、本曲は3曲目に収録されています。
- Q.12収録CDには、ほかに何が入っている?
- A.12
「小指の想い出」「あの人の足音」「朝のくちづけ」と、「ヴァケーション」「ロコ・モーション」などのカバーポップスも入っています。
この曲が気になった方へ
相手を思う気持ちが、身体の感覚や景色に残る歌へ。

