さくらと一郎『昭和枯れすゝき』の歌詞の意味・考察|居場所を失った二人が、別れを選べない理由
- リリース日:
- 1974/7/21
- 推定売上枚数:
- 67.8万枚
風の中に、二つの影。
離れられずに、並んでいる。
こんにちは!かなひなです😊
恋が終わったから悲しい、というだけでは説明できない歌があります。さくらと一郎の『昭和枯れすゝき』に登場する男女は、互いを嫌いになったのではありません。暮らす場所も、明日への望みも見えなくなった二人として、私は読みます。
男女のデュエットとして届けられるこの曲では、一方の考えに、もう一方の思いが返されます。相手を離したほうがよいのか、それでも離れたくないのか。二人の言葉をたどると、愛情があることと、安心して生きられることは別なのだと感じます。
本曲は1974年7月21日に発表された、さくらと一郎のデビュー曲です。題名の枯れたすすきに重なる二人の姿から、この歌が描く結びつきと、その危うさを考えてみます。
昭和枯れすすき~デュエット歌謡ベスト
「昭和枯れすゝき」の基本情報
| 曲名 | 昭和枯れすゝき |
|---|---|
| アーティスト | さくらと一郎 |
| 発売日 | 1974年7月21日 |
| 作詞 | 山田孝雄 |
| 作曲 | むつひろし |
| 編曲 | 伊部晴美 |
| 収録作品 | 『昭和枯れすゝき』 |
| シングル順 | デビュー・シングル |
| 発売元・品番 | 購入CD:UPCY-7431 |
| タイアップ | 映画『昭和枯れすすき』(1975年)で使用 |
JFN・1974年のデビュー曲 / 歌ネット・原シングル発売日 / ユニバーサル・収録CD / タワーレコード・制作クレジット
原シングルは1974年7月21日、ポリドールから発売されました。作詞は山田孝雄さん、作曲はむつひろしさん、編曲は伊部晴美さんです。
購入欄は2017年10月25日発売の『昭和枯れすすき~デュエット歌謡ベスト』。さくらと一郎の本曲を第1曲に収録した、全10曲のコンピレーションCDです。
「昭和枯れすゝき」は同題の映画とどうつながる?
1975年の松竹映画で流れる、同題の歌
1975年6月7日公開の松竹映画『昭和枯れすすき』では、当時ヒットしていた同題の歌謡曲が、物語の要所で流れます。
映画の中心にいるのは、東京で暮らす兄妹
映画は結城昌治さんの小説『ヤクザな妹』を原作に、野村芳太郎さんが監督しました。高橋英樹さんと秋吉久美子さんが演じるのは、故郷を離れて東京で暮らす兄妹です。松竹の作品紹介で、歌と映画の関係をたどれます。
歌詞の男女と、映画の兄妹は、同じ人物というわけではありません。それでも、故郷を離れた人や、都会で居場所を求める人の物語に、この歌が重なります。題名だけでなく、世の中の中で孤立する人への目線から、映画へ進むこともできます。
歌詞を読む
歌詞の意味・解釈
二人の絆は、暮らしを救う保証にはならない
この曲で二人を苦しめているのは、お金の問題だけではありません。周囲に受け入れられず、暮らす場所まで失った感覚もある。互いが支えになっていても、二人でいるだけでは苦しみが消えないところに、物語の重さがあります。
貧しい暮らしだけでなく、居場所を失った痛み
歌の出発点には、生活の苦しさをどう受け止めるかという、二人の見方の違いがあります。経済的に困っているだけなのか、それとも周囲の社会に押し出されたのか。自分たちだけの努力では変えにくいものに、傷ついているように読めます。
私は、この違いが大切だと思います。苦しい理由を二人の弱さだけにしてしまうと、歌にある孤立が見えなくなる。暮らす場所を失った二人にとって、相手は恋人であると同時に、自分の痛みを知っている数少ない人でもあるんですね。
望みが小さくなるほど、すすきの姿が重くなる
二人は、華やかな成功やぜいたくな暮らしを求めているわけではありません。周りの人と同じように暮らせるだけでよいと、願いの大きさまで小さくなっています。それでも、そのささやかな願いをかなえる道が見えない。
それでも二人は、一度はこれからの夢を持とうと話しています。私は、その場面に、ただ何も望まない二人ではないことを感じます。前へ向かおうとする気持ちが残っているからこそ、ごく普通に暮らしたいという望みさえ遠いことが、いっそう重く見えてきます。
題名の枯れたすすきは、きれいに咲いて祝福される姿から遠い、二人の比喩として読めます。私は、自然の景色が美しいというより、自分たちを華やかな場所には置けない心が、そこに表れていると感じます。
別れを勧める人と、離れられない人
男性は、女性に自分から離れるよう促します。けれど女性は、好きな気持ちと、命の終わりまで共にしようと交わした約束を手放せません。私は、相手を苦しみから遠ざけようとする言葉と、離れたくない返事が、同じ場面でぶつかっているように読みます。
ここを、どんなときも一緒にいる理想の恋とだけは読みたくありません。生きる道を見失いかけるほど追い詰められた二人には、互い以外の支えが見えなくなっている危うさもある。愛情があることを認めながら、それだけで救われる話にはしないところが、この曲の切実さだと思います。
この曲を聴く
本人歌唱の収録CDと、歌・映画の入口
本曲を聴くなら、さくらと一郎の歌唱を収録したデュエット歌謡CDへ。言葉の対話を読みたい方には歌詞のページ、同題の映画が気になる方には松竹の作品紹介があります。
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歌番組に残る、さくらと一郎と本曲
2007年のテレビ東京『第40回年忘れにっぽんの歌』では、さくらと一郎と『昭和枯れすすき』が、新宿コマ劇場から届ける番組の出演・曲目案内に掲載されています。
デュエット歌謡を振り返る番組でも
2007年の公式番組ページに、歌い手と本曲の記録が残っています。また、2015年のBSテレ東『武田鉄矢の昭和は輝いていた』では、男女のデュエット曲を振り返る特集に、さくらと一郎がゲスト出演しました。
2015年の公式番組紹介は、本曲を1974年のデビュー曲として紹介しています。一枚のCDだけでなく、デュエット歌謡の歴史の中で、この曲がどう受け継がれてきたかをたどる入口になります。
一人の独白ではなく、二人の応答として読む
ユニバーサルの収録CDは、本曲を男女のデュエットの一曲として紹介しています。歌詞でも、一方が状況を言い表すと、もう一方が違う思いや願いを返す形が、二人の距離を見せています。
同じ苦しみの中でも、考えは一つではない
二人が同じ境遇にいるからといって、すべてに同意しているわけではありません。苦しみの理由をどう考えるか、関係を続けるか離れるか。相手の言葉をそのまま受け入れない場面があることで、一人の悲しみを二人に分けただけの歌にはならないんですね。
言葉を追って聴くときは、どちらかの意見を正解にせず、返事によって意味がどう変わるかに目を向けてみてください。私は、この応答があるから、同じ場所で苦しむ二人にも、それぞれの心があることを感じます。
購入欄の公式デュエット歌謡集には、『別れても好きな人』や『北空港』も収録されています。本曲の二人の関係を考えたあと、別のデュエットではどんな思いが向かい合うのか、続けてたどることもできます。
この曲のまとめ
『昭和枯れすゝき』の二人は、互いの気持ちがなくなったから離れようとしているのではありません。相手を苦しませたくない気持ちと、それでも一緒にいたい気持ちが、行き先の見えない暮らしの中でぶつかっています。
もう一度聴くなら、二人が同じことを言っているかどうかに、耳を向けてみてください。相手がいることは支えになっても、苦しい生活が変わる保証にはならない。その隔たりを残したまま結びついている二人の姿に、この歌の悲しさがあると感じます。
「昭和枯れすゝき」に関するよくあるご質問
- Q.1『昭和枯れすゝき』はいつ発売された曲ですか?
- A.1
1974年7月21日、ポリドールから発売された、さくらと一郎のデビュー曲です。
- Q.2作詞・作曲・編曲をしたのは誰ですか?
- A.2
作詞は山田孝雄さん、作曲はむつひろしさん、編曲は伊部晴美さんです。
- Q.3どんな内容の歌ですか?
- A.3
生活の苦しさや、周囲から居場所を奪われた感覚を抱える男女の歌です。相手を離したい思いと、離れられない思いが対話になっています。
- Q.4題名の枯れたすすきは、何を表しているのですか?
- A.4
華やかに祝福される暮らしから遠い、二人の姿を重ねた比喩として読んでいます。二人の結びつきだけでは、暮らしの苦しさが消えないところも大切だと感じます。
- Q.5男女のデュエット曲ですか?
- A.5
はい。ユニバーサルの公式CD紹介でも、男女のデュエット歌謡の一曲として案内されています。
- Q.6どのドラマで使われましたか?
- A.6
TBS系ドラマ『時間ですよ 昭和元年』の挿入歌です。
- Q.7同じ題名の映画もありますか?
- A.7
1975年6月7日公開の松竹映画『昭和枯れすすき』があります。結城昌治さんの小説『ヤクザな妹』が原作で、同題の歌謡曲が物語の要所で流れます。
- Q.8映画も歌詞と同じ男女の話ですか?
- A.8
映画の中心にいるのは、高橋英樹さんと秋吉久美子さんが演じる兄妹です。歌詞の男女を、そのまま映画の登場人物と考える作品ではありません。
- Q.9購入欄のCDはどの版ですか?
- A.9
2017年10月25日発売の『昭和枯れすすき~デュエット歌謡ベスト』です。UPCY-7431、CD1枚・全10曲で、さくらと一郎の本曲を第1曲に収録しています。
この曲が気になった方へ
同じ傷を知る二人が、これからをどう望むか。別の歌と読み比べます。


