宇多田ヒカル「Wait & See ~リスク~」の歌詞の意味・考察|怖さが残っても、答えを急がない
- リリース日:
- 2000/4/19
晴れる前に、決めつけない。
怖いままでも、見にいける。
こんにちは!かなひなです😊
うまくいく保証がないなら、最初からやめておいた方が楽かもしれない。けれど、まだ見ていない先まで失敗だと決めるのも惜しい。宇多田ヒカルさんの「Wait & See ~リスク~」には、その間で揺れる人の言葉があります。
主人公は、怖がらずに前へ進める人ではありません。痛みに強く出たあとで、やはり傷つきたくないという本音も見せます。待つのも苦手。それでも、相手との可能性を早く閉じてしまうことには抵抗しているんです。
2000年4月19日発売の5枚目のシングルで、プロデュースはJam & Lewis。翌2001年のアルバム『Distance』にも収録されました。
待つことは、立ち止まることと同じなのでしょうか。言葉の揺れや、終盤で歌うことにたとえる場面から、主人公が守ろうとしているものをたどります。
Wait & See ~リスク~
「Wait & See ~リスク~」の基本情報
| 曲名 | Wait & See ~リスク~ |
|---|---|
| アーティスト | 宇多田ヒカル |
| 発売日 | 2000年4月19日 |
| 作詞 | Utada Hikaru |
| 作曲 | Utada Hikaru |
| 編曲 | Jimmy Jam/Terry Lewis/宇多田ヒカル |
| 収録作品 | 『Wait & See ~リスク~』 |
| シングル順 | 5枚目のシングル |
| 発売元・品番 | EAST・WORLD/TOCT-22070 |
公式シングル情報 / 公式アルバム情報 / 国立民族学博物館の編曲記録
シングルには「はやとちり」「Fly Me To The Moon (In Other Words)」も収録。本曲は原曲に加え、Baton Girl MixとOriginal Karaokeが入っています。
アルバム『Distance』は2001年3月28日発売。「はやとちり」は、同アルバムでは「HAYATOCHI-REMIX」として掲載されています。
歌詞を読む
歌詞の意味・解釈
確信できない時間にも、信じる余地を残す
強く言い切るところだけでなく、それに続く本音にも注目してみます。
信じることに、成功の保証はついていない
題名の「リスク」は、相手を信じれば傷つく可能性もある、という関係の不確かさと結びついています。絶対にうまくいくから安心して、とは言わない。先がわからないからこそ、信じるという選択が生まれるのです。
失敗しないと確認できたあとなら、選ぶのは簡単かもしれません。でも、相手の気持ちも自分の未来も、すべてを先に確かめることはできない。主人公は、その不確かさだけを理由に関係を閉じるのは早いと考えています。
私はこれを、危うさを我慢して引き受ける話より、まだ決まっていない未来を失敗扱いしない姿勢として読みます。怖さがあることと、もう何も望めないことは違う。その間に残る余地を、主人公は大切にしようとしているのだと思います。
痛みへの強がりが揺れるから、励ましが遠くならない
主人公は、最初から最後まで同じ調子で痛みを肯定するわけではありません。一度は強く出ても、そのあとには、やはり痛い思いは避けたいという気持ちが出てきます。言っていることが少し揺れるのが、この歌の面白いところです。
頭では、傷つく可能性もあるとわかっている。それでも、いざ自分のことになると怖い。主人公はその矛盾を隠して、完全に勇敢な人を演じ続けません。だから、相手へ向ける言葉にも、自分自身を励ますような切実さがあると感じます。
勇気を持てたら不安が消える、という順番ではないんです。不安を認めても、考えたり選んだりすることはできる。私はこの揺れに、強い人の教訓を聞くのとは違う近さを感じます。
「待つ」は、何もしないまま止まることとは違う
歌詞には、進むための乗り物を思わせるイメージが出てきます。動かない状態を見ているだけでなく、自分は動かそうとしているのかという問いもある。題名は待つことを促しますが、行動をすべて後回しにする歌ではありません。
待つのが苦手な主人公は、早く答えを知りたい人でもあります。それでも、先入観や外から与えられた予測だけで答えを決めるのは避けたい。結果を急がないことと、相手へ向き合うのをやめることは別なのです。
すぐに結論を出さない間にも、話したり、確かめたり、自分の態度を見直したりできる。私は、ここでの待つ時間を、可能性を見届けるために関わり続ける時間として読みます。信じることが受け身だけのものではなくなる場面です。
やり方を変えても、自分の大切なものまで捨てなくてよい
終盤では、遠くへ行けば楽になるかという問いから、自分自身は簡単には置き去りにできないという気づきへ進みます。場所だけを変えれば、内側の悩みも全部変わるわけではない。主人公の目が、自分との付き合い方へ向くところです。
そこで出てくるのが、歌う高さを調整するイメージです。難しい条件をそのまま耐えるだけでなく、自分に合う条件へ変えてもよい。それでも歌の大切なものは失われない、という比喩を、私は自分の歩き方にも重ねて読みます。
この結びまで来ると、リスクを引き受けることは、苦しい方法を絶対に変えないことではなくなります。目指すものは大切にしながら、進み方には工夫の余地がある。待つのが苦手で、痛いのも嫌な主人公にふさわしい、しなやかな答えだと思います。
この曲を聴く
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YouTubeで「Wait & See ~リスク~」を探す
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発売した年の「BOHEMIAN SUMMER 2000」へ
2000年の曲を、同じ年のステージでも楽しみたくなったら。
初全国ツアーの追加公演を収めた映像
『HIKARU UTADA LIVE CHRONICLES BOHEMIAN SUMMER 2000』には、本曲の演奏が収録されています。2000年夏の初全国ツアーから、千葉マリンスタジアムで行われた追加公演の映像を収めた作品です。公式の作品紹介。
2025年1月8日発売のBlu-ray版では、映像をフルHDへアップコンバートしています。シングルにも入っている「はやとちり」「Fly Me To The Moon」の演奏も収録。一枚のシングルから、その時期のステージへ関心を広げられます。
Jam & Lewisの制作と、受賞の記録
歌詞をたどったあと、曲を形にした制作陣と、発売後の記録にも触れてみます。
Jam & Lewisがプロデュースしたシングル
公式ミュージックビデオの説明では、プロデューサーとしてJam & Lewisが紹介されています。編曲の資料には、Jimmy Jam、Terry Lewis、宇多田ヒカルさんの名前があります。公式MVの紹介 / 国立民族学博物館の楽曲記録。
シングルに原曲だけでなくBaton Girl Mixも入っているので、同じ言葉を別の形で楽しむ入口があります。歌詞の迷いと前へ向く気持ちに触れたあと、どの版を選びたいか考えてみるのも楽しみです。
第15回日本ゴールドディスク大賞の受賞作品に
本曲は、第15回日本ゴールドディスク大賞の「ソング・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。同部門には、宇多田さんの「For You/タイム・リミット」など、複数の作品が選ばれました。公式の受賞一覧。
大きな受賞名を知ったあとも、主人公の言葉へ戻ると、そこにいるのは迷わない人ではありません。怖さや強がりを行き来しながら、相手にも自分にも早く見切りをつけない。その揺れが、この歌を自分の話として考える入口になります。
この曲のまとめ
「Wait & See ~リスク~」の主人公は、傷つくのが平気だから信じるのではありません。怖さは残るし、早く答えも欲しい。それでも、まだ見ていない先を決めつけたくない。その気持ちに、この歌の前向きさがあるのだと思います。
次に歌詞へ戻るなら、痛みに強く出る箇所と、そのあとの本音を続けて読んでみてください。そして、最後に歌う条件を変えるイメージへ。無理に強い自分になるだけでなく、自分に合う進み方を探す歌としても、もう一度出会えそうです。
「Wait & See ~リスク~」に関するよくあるご質問
- Q.1「Wait & See ~リスク~」は何年の曲?
- A.1
2000年4月19日発売の5枚目のシングルです。翌2001年のアルバム『Distance』にも収録されました。
- Q.2作詞・作曲は誰?
- A.2
宇多田ヒカルさんです。歌ネットではUtada Hikaru名義で掲載されています。
- Q.3プロデューサーは誰?
- A.3
Jam & Lewisです。公式ミュージックビデオの説明にも記されています。
- Q.4題名の「Wait & See」はどんな意味?
- A.4
少し待って成り行きを見る、という意味の表現です。この歌では、何もしないことより、相手との可能性を早く決めつけない姿勢として読めます。
- Q.5歌詞の「リスク」は何を指すと読める?
- A.5
相手を信じても、傷つく可能性があるという不確かさと結びついています。成功の保証がなくても、すぐに諦めない主人公の迷いをたどれます。
- Q.6痛みを平気だと言い切る歌?
- A.6
主人公の気持ちは途中で揺れます。強く出たあとに傷つきたくない本音も見せるので、不安をなくした人の歌ではないと私は読みます。
- Q.7シングルには何が収録されている?
- A.7
本曲、「はやとちり」「Fly Me To The Moon (In Other Words)」、本曲のBaton Girl Mix、Original Karaokeの5曲です。
- Q.8『Distance』には収録されている?
- A.8
はい。2001年3月28日発売の『Distance』に収録されています。同アルバムの「HAYATOCHI-REMIX」は、シングルの「はやとちり」と区別した表記です。
- Q.9ライブ映像で楽しめる作品は?
- A.9
『HIKARU UTADA LIVE CHRONICLES BOHEMIAN SUMMER 2000』などに収録されています。初全国ツアーの映像を収めた作品で、Blu-ray版は2025年1月8日発売です。
- Q.10日本ゴールドディスク大賞を受賞した?
- A.10
第15回の「ソング・オブ・ザ・イヤー」受賞作品の一つです。同部門では複数作品が受賞しています。
この曲が気になった方へ
怖さや迷いを抱えたまま、選び直していく歌へ。



