滝ともはる・堀内孝雄『南回帰線』歌詞の意味・考察|安らげる愛を離れ、夢へ向かう痛み
- リリース日:
- 1980/4/25
- 推定売上枚数:
- 65.4万枚
安らぎを背に、風は南へ。
夢の道にも、恋の痛み。
こんにちは!かなひなです😊
夢へ進む人は、今の愛を大切にしていないのでしょうか。滝ともはるさんと堀内孝雄さんの『南回帰線』を読むと、私は、そう簡単には言えないと感じます。語り手には、心を休められる相手がいる。その温かさを知っているからこそ、離れようとする決断に痛みがあります。
この歌は、未来へ向かう決意だけで始まるわけではありません。相手だけを思って暮らせたら、という願いが先にある。けれど、自分の中には、まだ成し遂げたいものがある。愛と夢のどちらかを軽くすることができず、語り手は、安らげる場所から出ていこうとします。
1980年4月25日発売のデュエット曲で、サントリービールのCMソングとしても知られています。山川啓介さんの詞、堀内さんの曲、石川鷹彦さんの編曲。私は、前へ進もうとする言葉の中に残る、感謝と負い目をたどってみたいと思います。
40周年記念ベストセレクション
「南回帰線」の基本情報
| 曲名 | 南回帰線 |
|---|---|
| アーティスト | 滝ともはる・堀内孝雄 |
| 発売日 | 1980年4月25日 |
| 作詞 | 山川啓介 |
| 作曲 | 堀内孝雄 |
| 編曲 | 石川鷹彦 |
| 収録作品 | 『南回帰線』 |
| シングル順 | 1980年発売のデュエット・シングル |
| 発売元・品番 | 購入CD:PKCP-2073 |
| タイアップ | 本人の公式ディスコグラフィーとレーベルの収録情報に、サントリービールのCMソングと掲載されています。レーベル公式の曲紹介。 |
滝ともはる公式・シングル発売情報 / レーベル公式・デュエットと収録位置 / 同版CDの品番・JAN
滝ともはるさんの公式ディスコグラフィーでは、1980年4月25日発売。堀内孝雄さんとのデュエットで、カップリングは『大放浪』です。
アップフロントワークスの公式収録情報には、作詞・山川啓介、作曲・堀内孝雄、編曲・石川鷹彦、歌唱は堀内孝雄と滝ともはるのデュエットと掲載されています。
購入欄は2011年10月26日発売の『堀内孝雄40周年記念ベストセレクション~時の流れに~』。PKCP-2073、JAN4942463672737、CD3枚・全46曲で、本曲は第1ディスク第11曲です。
「南回帰線」は何のCMソング?
1980年のサントリービールCM
CMで出会った一曲を、愛と夢の間にいる人の歌として読み直します。
未来へ向かう歌には、離れる痛みもある
『南回帰線』は、1980年のサントリービールCMソングです。滝さんと堀内さんが一緒に歌った曲として、本人の公式プロフィールにも記録されています。滝ともはる公式の活動記録。
私は、CM曲という入口から歌詞へ戻ると、前へ向かう姿の中に、恋人のそばにいたい願いもあるところに惹かれます。夢への決意は、何も失わずにできるものではない。語り手が置いていこうとする愛を考えると、その一歩の重さも見えてきます。
歌詞を読む
歌詞の意味・解釈
夢は、安らぎを知る人を急がせる
恋人への感謝、離れる負い目、仮に家族だったらという願い、南の境界を越える決意から読みます。
夢を追うだけでなく、夢に急かされている
語り手は、相手との暮らしだけを選べたらよいと願います。それでも、自分の夢が、その場所に落ち着くことを許さないように感じている。私は、勇んで出発する人というより、安らぎを求める心と、まだ先へ進みたい心に引かれている人として読みます。
夢は希望であると同時に、立ち止まれなくするものにもなる。私には、その二面があるから、語り手の孤独が深く感じられます。愛する相手がいても、何を選ぶかは自分で引き受けなければならない。その重さが、前へ進む言葉の下にあります。
帰れる場所のような相手を、自分から離れる
相手は、語り手にとって、心を休められる場所のような存在です。そこには感謝があります。けれど、その関係を自分からほどこうとしている。私は、相手の優しさが足りないから去るのではなく、その優しさを知っていながら去ることに、負い目を感じているのだと読みます。
相手が大切でなければ、決断はもっと軽かったのかもしれません。語り手は、自分の選択をただ正しいこととして飾ってはいない。私には、夢を理由にしても、相手を傷つける責任まで消すことはできないと感じている人に見えます。感謝と申し訳なさが、同じ別れの中にあります。
家族だったなら、と願うのは、恋だから痛むため
語り手は、相手が妹だったなら、別の人との幸福をもっと気軽に願えたのに、と想像します。私には、相手を家族のように大切にしたいというだけでなく、恋をしているからこそ、送り出すことが苦しいという心に感じられます。願いの中で、二人の関係を変えてみようとしているのです。
私は、この仮定に、恋人への気持ちを整理しきれない人の弱さを感じます。相手には幸せになってほしい。でも、その幸せが自分のいない場所にあることは、つらい。語り手は去る側であっても、何も痛まずに相手を手放せる人ではありません。
南の境界は、過去を遠ざけたい決意の目印
題名の境界を越えた先では、過去を遠い景色のようにしたいと語ります。私は、具体的な旅先より、これまでの自分を離れ、夢へ向かおうとする心の区切りとして読みます。動き続ける生き方へ戻る、という言葉にも、安らぎにとどまらない決意が感じられます。
けれど、歌は夢がかなった結果を語りません。遠くにいる誰かへの競争心や、これからに自分を賭ける気持ちが続きます。私には、過去をすでに消した人ではなく、過去を抱えながら遠くへ進もうとする人の歌に感じられます。強い決意にも、置いていくものの痛みが残っているのです。
この曲を聴く
デュエットのCDと、詞・本人の回想へ
二人の歌を収めた2011年CDから、山川啓介さんの詞と、歌い手の回想へ進めます。
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離れた道の先でも、二人の一曲へ戻る
2011年の番組収録では、滝さんと堀内さんが本曲で再び共演しています。
年月を経て、デュエットで再共演
日刊スポーツの2011年9月10日の記事は、NHK BSプレミアム『J-POP青春の’80』の収録で、滝さんと堀内さんが本曲を一緒に歌ったことを伝えています。発売時のシングルだけでなく、後の共演にも残る二人の一曲です。二人の共演を伝えた記事。
私は、夢へ向かう人を描いた曲が、別々に歩んだ歌い手の再共演にも残るところに惹かれます。購入欄の2011年ベストCDは、この番組の公演録音ではありません。二人のデュエットをCDで聴く入口と、共演の記録を読む入口を分けて選べます。
若さを、迷いのない強さだけにしない詞
語り手の葛藤と、本人が振り返る一曲の歩みを、それぞれからたどります。
今の幸福を選びきれない人の、強さと弱さ
山川啓介さんの詞には、恋人と安らいでいたい願いと、まだ進みたい欲求が並びます。私は、夢を選ぶ人を勇敢だと褒めるだけでなく、その人が自分の選択で誰かを傷つけることも見つめた歌として読みます。
若さは、まだ満足できないことでもある。その落ち着かなさが可能性を開く一方、目の前の幸福から離れさせることもある。私には、夢と愛の両方を大切にしたい人が、どちらも無傷では守れない場面を描くところが、この詞の魅力に感じられます。
ヒットの後にも、歌い手の歩みは続く
日本香堂のフレグラボの本人取材では、滝さんは『南回帰線』がヒットした頃の自分に、自信がなかったと振り返っています。続くページでは、仕事の話がなくなって横浜へ戻ったとき、仲間が次の歌の仕事を用意してくれていたことを語り、そこで歌い続けようと決めたと回想しています。ヒット当時を振り返る本人取材 / 横浜で歌い続けると決めた経緯。
歌の語り手は安らげる場所を離れようとし、滝さんは、支えてくれる人のいる街で歌い続ける道を選んだと語る。二つは別の話ですが、私は並べて考えると、前へ進むための選択は、遠くへ行くことだけではないと感じます。歌の決意に心を寄せながらも、そばにいる人の大切さを考えたくなります。
この曲のまとめ
私には、『南回帰線』は、愛が小さくなったから去るのではなく、愛の大きさを知りながら夢へ向かう人の歌に感じられます。相手は心を休められる場所であり、だからこそ、離れる自分には負い目がある。その痛みを消さずに、語り手は先へ進もうとします。
未来に自分を賭ける言葉は強くても、そこには、相手のそばにいられたらという願いも残る。二人のデュエットを収めたCDと、歌詞全体へ。夢への決意の中にある、恋の温かさと痛みを、もう一度たどってみませんか。
「南回帰線」に関するよくあるご質問
- Q.1原曲の発売日は?
- A.1
滝ともはるさんの公式ディスコグラフィーでは、1980年4月25日です。カップリングは、堀内孝雄さんとのデュエット『大放浪』です。
- Q.2作詞・作曲・編曲は?
- A.2
作詞は山川啓介さん、作曲は堀内孝雄さん、編曲は石川鷹彦さんです。
- Q.3誰が歌っている曲?
- A.3
滝ともはるさんと堀内孝雄さんのデュエットです。紹介CDの公式情報にも、二人の歌唱として掲載されています。
- Q.4何のCMソング?
- A.4
1980年のサントリービールCMソングです。本人の公式情報と、レーベルの収録情報に記載されています。
- Q.5夢へ進む歌に、なぜ恋の痛みを感じる?
- A.5
私は、相手に安らぎを感じ、感謝しているのに、自分から離れようとするためだと読みます。夢を選ぶことが、愛情の小ささを意味するとは考えていません。
- Q.6恋人を帰れる場所のように感じるのは?
- A.6
私には、その人のそばで心を休められるという感謝を示す比喩に感じられます。その温かさがあるから、離れる負い目も強くなります。
- Q.7妹という関係は、どのように読む?
- A.7
相手が妹だったなら、と考える仮定です。私は、恋人だからこそ、別の人との幸福を気軽には願えない痛みが表れると読みます。
- Q.8題名の境界には、どんな意味を感じる?
- A.8
私は、これまでの安らぎを離れ、過去を遠いものにしようとする決意の目印として読みます。夢への道を選ぶ心の区切りに感じられます。
- Q.9歌の中で、すでに夢はかなっている?
- A.9
私は、成功を報告する歌ではなく、これからに自分を賭けようとする歌として読みます。過去の痛みを抱えながら、先へ進もうとしています。
- Q.10購入欄は1980年のシングル商品?
- A.10
2011年10月26日発売の『堀内孝雄40周年記念ベストセレクション~時の流れに~』です。PKCP-2073の3枚組ベストCDです。
- Q.11本曲の収録位置と歌唱版は?
- A.11
全46曲のうち、第1ディスク第11曲です。滝ともはるさんとのデュエットと、レーベルが明記しています。ソロ版を収録した30周年盤とは別の商品です。
- Q.122011年の再共演も、紹介CDの録音?
- A.12
NHKの番組での再共演は、日刊スポーツが報じた別の歌唱機会です。紹介CDは、その番組の公演録音を収めた商品ではありません。
この曲が気になった方へ
愛が夢への歩みを支えるとき、離れる痛みになるとき。


