増田けい子『すずめ』歌詞の意味・考察|送り出す手と、離れたくない心
- リリース日:
- 1981/11/28
- 推定売上枚数:
- 65.5万枚
手を振る先に、夜がある。
小さな羽が、まだ帰れない。
こんにちは!かなひなです😊
旅立つ相手のために、乗り物を探そうとする。でも、本当は離れたくない。増田けい子さんの『すずめ』で私が気になるのは、相手を送り出すための動作と、自分の心が逆の方向を向いているところです。ふざけて見せる姿の中に、別れを受け止めきれない人がいます。
語り手は、別れを普段の暮らしの一場面に収めようとしています。そのために、話す場所や時間を思い浮かべ、見送りもいつもと同じようにしようとする。けれど、相手が去ると、気持ちはその小さな枠からあふれ出す。私は、平気に見せることと、本当に平気でいることの違いを描いた歌として読みます。
1981年11月28日発売のソロデビュー曲で、作詞・作曲は中島みゆきさん、編曲は青木望さん。現在は増田惠子の名で活動する本人が語った、録音時の歌い方の工夫も手がかりに、本音を隠す仕草と、隠しきれない心をたどります。
究極のベスト! 増田惠子
「すずめ」の基本情報
| 曲名 | すずめ |
|---|---|
| アーティスト | 増田けい子 |
| 発売日 | 1981年11月28日 |
| 作詞 | 中島みゆき |
| 作曲 | 中島みゆき |
| 編曲 | 青木望 |
| 収録作品 | 『すずめ』 |
| シングル順 | ソロデビューシングル |
| 発売元・品番 | 購入CD:WPCL-70520 |
ワーナー公式・ソロデビュー記録 / FMおだわら・原曲クレジット / ワーナー公式・本人ベストCD
1981年11月28日、ワーナーパイオニアからソロデビュー。発売当時の名義は増田けい子、現在の名義は増田惠子です。
原曲の作詞・作曲は中島みゆきさん。FMおだわらの本人ゲスト回の紹介に、編曲は青木望さんと掲載されています。
購入欄は2005年7月27日発売の『究極のベスト! 増田惠子』。WPCL-70520、JAN4943674057504、CD1枚・全9曲で、本曲は第1曲です。
歌詞を読む
歌詞の意味・解釈
小さく見せた別れに、心が収まらない
話したい場所、送り出す動作、贈り物と、最後に走り出す姿から読んでみます。
別れを、一日の小さな出来事にしたい
語り手が望むのは、明るい場所で、普段の時間の続きとして別れを話すことです。暗く雨の降る夜では、その言葉が二人の人生全体の終わりのように感じられてしまう。私は、別れをなくすことはできなくても、受け取る痛みの大きさを変えようとしているのだと読みます。
話の内容だけでなく、どこで、いつ聞くかも心に響く。語り手は、自分が崩れずにいられそうな場面を選びたいのでしょう。別れを軽く扱っているのではなく、重さに耐えるために、日常の中へ置こうとしているように感じます。
送り出す支度は、気持ちの整理とは違う
相手は旅立ちの用意をしています。語り手は、列車に間に合うように乗り物を探そうとする。私は、この気の利いた申し出に切なさを感じます。相手の出発を助けることはできるのに、自分の心を同じように出発させることはできないのです。
相手のために動けば、取り乱す代わりに、いつもの自分でいられるのかもしれません。けれど、役に立つ振る舞いができることと、別れを望んでいることは別です。この歌では、整って見える動作ほど、胸の中との違いがはっきりしてくると読みます。
雀のような身軽さに、軽くない心が隠れている
題名の鳥は、語り手の落ち着かない心と結びついています。相手の前では、無邪気なふりをして、ふざけてしまう。私には、その小さな動きが、深刻な気持ちをそのまま見せられない人の姿に感じられます。可愛らしい比喩なのに、内側の痛みまで小さいわけではありません。
相手から贈られた、パステルで描かれた自分の似顔絵を手放したい、という願いも出てきます。ただ、焼いてしまうことには耐えられず、夜の海へ捨てることを思い浮かべる。私は、思い出を消したい人にも、思い出を傷つけるつらさがあるのだと読みます。自分を描いてくれた相手の時間まで残る品だから、手放す決意の言葉だけでは片づかないのでしょう。
いつもの見送りが、いつまでも続くわけではない
語り手は、相手の車を普段と同じように見送ろうとします。ところが、相手が去ると、走り出す姿が現れます。私は、その動きに、ふざけた姿の奥へ隠していた気持ちが表れるように感じます。相手の前で守っていた平静が、距離ができた瞬間にほどけ、離れたくない心が追いかける動作になったのです。
それは、二人が戻れたという結末ではありません。別れを受け入れたふりをしても、心まで離れられるとは限らない。その違いが残ります。私には、軽く見せようとしていた語り手の切実さが、最後の動きで伝わってくる歌に感じられます。
この曲を聴く
本人ベストと、歌詞・録音回想へ
2005年のCDを入口に、歌詞の言葉と本人の回想、後年の公演版を分けてたどれます。
OFFICIAL STUDIO LIVE / 2021
40周年のスタジオ公演で聴く
Victor Entertainmentの公式映像。2021年11月28日の公演版で、1981年の原曲や購入CDとは別です。
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40年後にも、ソロの出発点へ戻る一曲
2021年11月28日のスタジオライブは、原曲の発売から40周年の日の公演です。
無観客のスタジオ公演を、別の版としてたどる
ビクターの公式作品紹介によると、ソロデビュー記念日に行われた配信ライブを、2022年の『そして、ここから…』に収録しています。本曲のスタジオライブ音源はCDの第2ディスクに、映像は生産限定盤のDVDに入っています。ビクター公式の収録内容。
購入欄の2005年ベストCDと、この公演作品は別の商品です。原曲から40年を経た日に、同じ歌を本人が届けた記録として選べます。ソロの入口になった曲を、歩みの節目でも歌っていることに、私は長く持ち続けた一曲の重みを感じます。 YouTubeで本曲の公式公演映像を見る ↗(2022年6月8日公開)。
憧れた人の曲を、自分の歌にするまで
本人の録音回想には、悲しみを強く表そうとするだけでは決まらなかった歌の工夫があります。
別のことを考えて歌う、という提案
2026年のクランクイン!の本人取材では、桜田淳子さんの『しあわせ芝居』を聴いて、中島みゆきさんの曲を歌いたいと思ったと語っています。念願の提供曲でしたが、デモの印象が強く、自分の歌い方を見つけるのに苦労したそうです。本人が語る依頼と録音の回想。
ディレクターから、意味を考えすぎず、別のことを思いながら歌うよう勧められ、その歌唱でOKが出たと本人は回想しています。私は、この工夫を知ると、悲しさを強く示すことだけが歌の表現ではないのだと考えます。ふざけて見せる人の内側を描いた歌を、本人が自分の声で届けるための試行だったのでしょう。
同じ題名でも、後年の本人カバーは別の録音
2014年の『愛唱歌』には、ソロデビュー33周年を記念した本人カバーとして、本曲が収録されています。編曲のクレジットは増渕東さん。原曲の青木望さんとは分けて紹介されています。ワーナー公式・2014年の本人カバー。
その後も本曲は公演作品に残ります。私は、代表曲が一度きりの録音で終わらず、本人の歩みの中で歌い直される点にも魅力を感じます。まず2005年のベストから入り、後年の本人カバーや公演版へ進むと、同じ歌を別の時点からたどれます。
この曲のまとめ
私には、『すずめ』は、相手を送り出す振る舞いができても、心まで見送ることはできない歌に感じられます。明るい場所を選びたい願い、役に立とうとする申し出、いつもの手振り。平静を守るための動作に、別れたくない思いが隠れています。
小さくふざける姿は、気持ちが小さいことの証明ではありません。相手が去った後に走り出す人を思うと、見せていた軽さの奥にあった重さが伝わってきます。歌詞全体を読み、本人ベストへ。送り出す手と離れられない心の違いを、もう一度たどってみませんか。
「すずめ」に関するよくあるご質問
- Q.1原曲の発売日は?
- A.1
1981年11月28日です。ワーナーパイオニアからソロデビューしたシングルです。
- Q.2増田けい子と増田惠子は別の歌手?
- A.2
同じ本人です。発売当時は増田けい子の名義で、現在は増田惠子の名で活動しています。
- Q.3作詞・作曲・原曲の編曲は?
- A.3
作詞・作曲は中島みゆきさん。FMおだわらの本人ゲスト回の紹介に、編曲は青木望さんと掲載されています。
- Q.4なぜ別れを話す場所に注目する?
- A.4
私は、別れの重さに耐えられる場面を選ぼうとする願いとして読みます。明るい日常の時間に収めたい気持ちがあると感じます。
- Q.5相手の出発を助けることは、別れたいという意味?
- A.5
私はそうとは読みません。送り出す振る舞いができることと、心が離れることは別だと考えます。
- Q.6題名の鳥に、どんな心を感じる?
- A.6
私には、軽く振る舞う姿の中に、落ち着かず相手を求める心があるように感じられます。可愛らしい動きでも、気持ちが軽いとは限りません。
- Q.7似顔絵を手放したい願いは、どう読める?
- A.7
私は、思い出を消したい気持ちと、大切な品を傷つけたくない気持ちが重なっていると読みます。焼くことには耐えられず、夜の海を思い浮かべるところに、簡単には片づけられない心を感じます。
- Q.8購入欄は1981年のシングル商品?
- A.8
2005年7月27日発売の本人ベストCD『究極のベスト! 増田惠子』です。品番はWPCL-70520です。
- Q.9本人ベストCDの収録位置は?
- A.9
CD1枚・全9曲で、本曲は第1曲です。『ためらい』『らせん階段』『女優』なども収録しています。
- Q.10歌ネットの発売日が2005年なのは?
- A.10
紹介CDと同じ2005年7月27日という発売情報を表示するページです。原曲の初発売日である1981年11月28日とは分けています。
- Q.112021年の公演版は、購入CDに入っている?
- A.11
購入欄の2005年CDとは別です。2021年11月28日のスタジオライブ版は、2022年の『そして、ここから…』に収録されています。
- Q.122014年の『愛唱歌』も同じ録音?
- A.12
ワーナーは、33周年を記念した本人カバーとして紹介しています。第12曲のボーナストラックで、編曲は増渕東さんです。
この曲が気になった方へ
見せる振る舞いと、隠した心が違う歌へ。


